Wine で Sims2 をプレイする (Wine 実行準備)

インストールせずに使う
ビルドした Wine は、/usr/local などにインストールして使うこともできますが、公式の Wine と共存したい場合は、少しややこしいことになります。

Wine の場合は、インストールしなくても、pkg ディレクトリ内のファイルをそのまま使って起動することができるので、今回はインストールせずに使っていく方法を説明します。

なお、pkg 内のファイルは、ディレクトリ構造を維持していれば、別のディレクトリに移動しても使うことができます。
Wine の実行ファイルなどはフルパスで指定することになるので、パスが長くなるようなら、pkg 内のファイルを適当な場所に移動しておくといいかもしれません。
実行ファイルの実行方法
pkg/bin ディレクトリ内には実行ファイルがあり、wine コマンドなどがあります。

これらの実行ファイルは、普通に 「$ wine」 などと入力しても起動できません。
この場合、環境変数 PATH に設定されている検索パス内から順に検索されるので、公式の Wine がある場合は、/usr/bin/wine が実行されます。
慣れないうちは、うっかり公式の Wine の実行ファイルを起動してしまうことが多いので、注意してください。

pkg/bin 内の実行ファイルを実行するには、実行ファイルのパスを指定する必要があります。

端末で pkg/bin へ移動して、「$ ./wine」 というように相対パスで指定するか、
「$ ~/wine-build/pkg/bin/wine」 のように直接フルパスを指定して起動します。
ライブラリの検索パス
実行ファイルは、直接パスを指定すれば起動できますが、実行ファイルで使われるライブラリ (*.so) の検索パスについては、環境変数を使って指定する必要があります。

常にパスを有効にするのではなく、ビルドした Wine の実行中だけ Wine 用のライブラリファイルを使いたいので、LD_LIBRARY_PATH を使います。

LD_LIBRARY_PATH
この環境変数はデフォルトで空ですが、値が設定されている場合、デフォルトの共有ライブラリ検索パスを無視して、任意の検索パスを使うことができます。
永続的に設定する場合は別の方法を使いますが、特定のプログラムを実行する時だけ検索パスを変更したい時に使います。

複数のパスを指定する場合は、「: (コロン)」 で区切ります。先頭から順に検索されます。

使い方
Sims2 を実行する場合、32bit 版 Wine を使うので、共有ライブラリは 32bit 用のものを使います。
なので、Wine 用のライブラリとして pkg/lib32 のパスを絶対パスで指定します。
ただし、32bit の共通ライブラリ /usr/lib32 も指定する必要があります。

「$ env 変数=値 変数=値 ... 実行ファイル」 で、実行ファイルの実行中のみ設定される環境変数をセットすることができます。

$ env LD_LIBRARY_PATH=~/wine-build/pkg/lib32:/usr/lib32 ~/wine-build/pkg/bin/winecfg
Wine 用の環境変数
Wine の実行時に設定できる環境変数の説明をします。
WINEARCH
64bit 環境で Wine を実行すると、デフォルトで 64bit の Windows として実行されてしまうので、Windows 32bit 環境で実行したい場合は、環境変数 WINEARCH でタイプを設定します。
32bit の場合は、「WINEARCH=win32」 と設定します。

この指定がなくても Sims2 自体は実行できますが、Sims2 用のツールを実行するために 「.NET Framework」 などをインストールする必要が出た場合、Wine が 64bit 環境の状態だとインストールできないので、最初から 32bit 環境にしておいた方が確実です。
WINEPREFIX
Wine では、Windows のディレクトリ環境 (c:\Program Files など) を作るために、「Wine prefix」 や 「Wine bottle」 と呼ばれるディレクトリが作成されます。

ディレクトリの場所は、環境変数 WINEPREFIX で指定できます。
環境変数の指定がない場合は、デフォルトで 「~/.wine」 が指定されます。
(指定したディレクトリは自動で作成されるので、あらかじめ作成しておく必要はありません)

この環境変数は常に指定して、Sims2 専用のディレクトリを指定した方が良いです。

新しい Wine prefix ディレクトリを作成することは、新しい Windows をクリーンインストールするのと同じようなものです。
Windows 環境を新規状態にしたい時は、Wine prefix のディレクトリを削除すれば、次回の Wine 起動時に、新しい Windows 環境として再作成されます。

※ このディレクトリ内には、c:\Program Files に相当するディレクトリが含まれるため、Sims2 のインストール時に、インストール先をデフォルトのままにすると、このディレクトリ下にファイルがインストールされます。
そのため、Sims2 のインストール先をデフォルトのままにする場合は、十分な空き容量がある場所を指定してください。

~/.bashrc に alias 登録
ここまでで、実行に必要な環境変数の説明は終わりました。
実際に Sims2 用として Wine を起動するためには、Wine の実行ファイルの実行時に、毎回環境変数を指定する必要があります。

$ env LD_LIBRARY_PATH=~/wine-build/pkg/lib32:/usr/lib32 \
 WINEARCH=win32 WINEPREFIX=~/.wine-sims2 \
 ~/wine-build/pkg/bin/wine ...

さずがにこれを毎回入力するのは大変なので、alias コマンドを使って、長いコマンドなどを短縮形として任意の名前で登録し、その短縮名で実行することができます。

~/.bashrc ファイル内にシェルスクリプトを記述すると、端末が起動した時にそのスクリプトが実行されるので、.bashrc に alias を設定します。

※ ~/.bashrc の内容を変更した場合は、端末を再起動しないと適用されないので、新しい端末を起動させてください。
記述例
<prefix_dir> : Wine prefix のディレクトリ
<pkg_dir> : Wine の実行用のファイルがあるディレクトリ

## 環境変数指定のみ
alias winesims-env='env WINEARCH=win32 WINEPREFIX=<prefix_dir> \
 LD_LIBRARY_PATH=<pkg_dir>/lib32:/usr/lib32'

## wine コマンドの実行
alias winesims-wine='env WINEARCH=win32 WINEPREFIX=<prefix_dir> \
 LD_LIBRARY_PATH=<pkg_dir>/lib32:/usr/lib32 <pkg_dir>/bin/wine'

実際の使い方
$ winesims-env ~/wine-build/pkg/bin/winecfg
$ winesims-wine Sims2EP9.exe
winecfg を実行する
Wine の実行準備が整ったら、まずは winecfg コマンドを実行して、Wine prefix ディレクトリの作成と、Wine 設定を行います。
公式の winecfg を実行しないように注意してください。

$ winesims-env ~/wine-build/pkg/bin/winecfg

実行できたら、Wine prefix ディレクトリの作成と構築 (Windows 関連のファイルのコピー) が行われるので、待ちます。
ファイルの準備が終わったら、Wine 設定画面が開きます。
Wine 設定
仮想デスクトップ
「画面」 タブの 「仮想デスクトップをエミュレートする」 を、ON にするか OFF にするかを選んでください。

Sims2 はデフォルトでフルスクリーンで表示されるので、仮想デスクトップが OFF の場合は、Linux 上でも解像度が変更されてフルスクリーンで表示されてしまいます。

ON にすると、Windows デスクトップ用のウィンドウが表示されて、その中で Sims2 が表示されます。
少し不便ですが、Sims2 がフルスクリーンで起動されても、常にウィンドウがある状態で Sims2 を実行できます。

仮想デスクトップ を OFF にして、Sims2 をウィンドウモードで起動させることもできます。
Sims2 起動時に 「-w -r幅x高さ」 のオプションを指定します。

ドキュメントフォルダ
必要なら、「デスクトップ統合」 タブの 「フォルダ」 で、ドキュメントフォルダの場所を変更しておくと良いでしょう。

デフォルトで Linux のホームディレクトリに設定されているため、Sims2 の設定ファイルは、「~/EA Games」 または 「~/Documents/EA Games」 などに作成されることになります。
このディレクトリは、ダウンロードしたオブジェクトなどを置いたり、セーブデータが保存されるディレクトリとなるので、空き容量が気になる場合は、適切な場所に変更してください。

※ Wine を再ビルドした後に実行すると、Wine 設定がクリアされるので、フォルダ設定がデフォルトに戻ってしまいます。
再ビルドした場合は、winecfg でフォルダを再設定してください。
次へ
これでようやく、Sims2 を実行できる環境が整いました。
次は、実際に Sims2 をインストールして起動させます。

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